浜松 磐田 袋井を中心とした県西部で「木の香りと暮らす」をコンセプトに家造り|宮大工の伝統技術を活かした耐震等級3×高気密高断熱の住まい|宮大工天峰建設 注文住宅ブランドKAHOUの澤元です。
「木を知る、木と暮らす。|KAHOUの木の話」
第3回は、松(マツ)についてお話ししたいと思います。
昔の住宅や寺院を改修していると、大きな松の梁を見ることがあります。
なぜ昔の大工さんたちは、松を梁として使ってきたのでしょうか。
今回は、宮大工として実際に松を加工して感じることも交えながらご紹介します。
Q. 松はどんな木ですか?
今回主にお話しするのは、日本で昔から建築材として使われてきたアカマツです。
アカマツは、昔から梁や桁などの建築材として使われてきました。森林総合研究所でも、アカマツは材質に優れ、梁や桁といった横架材に利用されてきたと紹介されています。
実際に松を持ってみると、私は杉などと比べて重さを感じる木という印象があります。
そして刻み加工をしていると、硬さと粘りを感じます。
Q. なぜ松は梁に使われてきたのですか?
松は、曲げに対する強さが比較的高い木材です。
国の基準強度では、無等級材の曲げ強さの一例として、
アカマツ・クロマツ 28.2N/mm²
ヒノキ 26.7N/mm²
スギ 22.2N/mm²
とされています。
梁は柱と違い、横向きに使われ、上からの荷重を受ける部材です。
そのため、曲げに強い松は昔から梁や桁に適した木材として使われてきたということですね。
私自身も刻んでいると、杉とは違う硬さや粘りを感じます。
数字だけでなく、実際に刃物を入れてみても「強い木だな」と感じる木材です。
Q. 古い松は、さらに硬くなるのですか?
古い寺院などを改修していると、何十年、場合によっては100年以上経った松の梁を加工することがあります。
そうした古材の赤身の部分は、本当に硬いと感じます。
木材は乾燥して含水率が下がることで、一定の範囲では強度が増す性質があります。
ただし、「木は古くなればなるほど永遠に強くなる」という意味ではありません。
長い年月を経て十分に乾燥した古い松を加工すると、職人として非常に硬く感じる、というのが私の実感です。

Q. 松は加工しやすい木ですか?
ここは少し困るところもあります。
松にはヤニ(樹脂)が多いからです。
刻み加工をしていると、ヤニがノミや鋸などの刃物に付着します。
特に鋸で切っているときは、ヤニが付いて切れ味が悪くなるため、少し扱いにくさを感じます。
古い松材では、このヤニがカチカチに固まっていることもあります。
実際に古材を加工していると、刃物が欠けそうになるほど硬く感じるヤニに出会うこともあります。
これは資料からというより、長年松を加工してきた中で感じている、大工としての実体験です。
Q. 赤身と白太では違いがありますか?
古い松の梁を見ていると、ここも非常に興味深いところです。
私たちが改修工事などで古材を見ると、
赤身はしっかり残っているのに、白太の部分には虫食いが見られる
ということがあります。
一般的に、木材は外側の「辺材(白太)」よりも、中心側の「心材(赤身)」の方が耐久性が高いとされています。林野庁の資料でも、辺材は樹種にかかわらず腐朽しやすく、心材の方が耐久性が高いと説明されています。
ただし、アカマツの赤身そのものが、ヒノキのように特に耐久性が高いという意味ではありません。
古材を再利用するときには、樹種だけで判断するのではなく、虫食いや腐れによって木材の断面がどれくらい残っているのかを確認することが大切です。
白太が多く、虫食いによって断面が大きく失われている松材を見ると、構造材として再利用してよいのか慎重に判断する必要があります。
Q. 今でも国産の松を梁に使うのですか?
私たちの場合、現在の住宅では国産の松を梁として使うことは、以前ほど多くありません。
昔の古材と比べると、現在入手できる国産松は白太の割合が多いように感じることもあります。
また、アカマツは「松くい虫」と呼ばれるマツ材線虫病によって、大きな被害を受けてきました。
森林総合研究所でも、松くい虫の激害によってアカマツの資源量が大幅に減少していると報告されています。
現在も松くい虫は、日本の森林にとって大きな病虫害の一つです。
良質な国産松を安定して入手することが、昔より難しくなっていることも背景の一つだと思います。
Q. 大きな梁が必要なときは、何を使いますか?
寺院建築などで大きな梁材が必要な場合には、米松(ベイマツ)を使うことがあります。
ちなみに「米松」と呼ばれていますが、日本のアカマツと同じ種類ではありません。
米松はマツ科トガサワラ属のダグラスファーという木です。
米松は剛性や強度が高く、大きな構造材にも使われています。林野庁の資料でも、大型重量部材などに利用される木材として紹介されています。
私たちが寺院の大きな梁に使う米松は、赤身をしっかり取れる材もあり、大断面の梁材として使いやすいと感じています。
古い建物を直すと、昔の大工の材料選びが見えてくる
古い寺院を改修していると、何十年、何百年と建物を支えてきた松の梁に出会います。
白太には虫食いがあっても、中心の赤身はしっかり残り、いざ加工しようとすると驚くほど硬い。
そんな木材に触れていると、
「昔の大工さんは、木の性質を見ながら材料を選んでいたんだな」
と改めて感じます。
木は、
「松だから良い」
「桧だから良い」
「杉だから弱い」
と、樹種だけで決められるものではありません。
一本の木の中にも赤身と白太があり、節や木目、乾燥状態などによっても性質は変わります。
木の特徴を知り、その木に合った場所に使う。
これは、宮大工が昔から大切にしてきた「適材適所」という考え方です。
KAHOUの家づくりでも、木の名前だけで判断するのではなく、それぞれの特徴を理解しながら、使う場所を考えていきたいと思っています(^^)
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