浜松 磐田 袋井を中心とした県西部で「木の香りと暮らす」をコンセプトに家造り|宮大工の伝統技術を活かした耐震等級3×高気密高断熱の住まい|宮大工天峰建設 注文住宅ブランドKAHOUの澤元です。
KAHOUの家では、柱や梁などの構造材を「表し」にして、木材そのものを内装の一部として見せることがよくあります。
私たち建築に携わっている者からすると、木材は自然素材なので「乾燥する過程で割れることがある」という認識があります。
ただ……
一般の方からすると、柱や梁に割れが入っているのを見ると、不安に感じるのではないでしょうか。
「強度が弱い木材なのでは……」
「このまま折れてしまわないの?」
「もしかして欠陥なのでは……」
そのように感じるお気持ちは、よく分かります。
ですが、木材に入る割れのすべてが、構造上問題のあるものというわけではありません。
木は自然素材です。
乾燥によって収縮するため、柱や梁に「乾燥割れ」と呼ばれる割れが入ることがあります。
今回は、
「なぜ木材は割れるのか?」
そして、
「木材の“割れ”と“折れ”は何が違うのか?」
についてお話ししたいと思います。
なぜ木材は割れるの?
木は山に生えている間、根から水分を吸い上げながら成長しています。
伐採した直後の木材には、まだ多くの水分が含まれています。
そこから製材され、柱や梁などの建築材料として使えるように乾燥させていきます。
この「乾燥」が、木材の割れと大きく関係しています。
木材は乾燥すると、水分が抜けることで少しずつ縮んでいきます。
ただし、木材はすべての方向に同じように縮むわけではありません。
木の繊維方向には比較的縮みにくく、年輪に対する方向によって縮み方が異なります。
さらに、木材は表面から先に乾燥していくため、表面と内部では一時的に水分量の差が生まれます。
表面は先に乾いて縮もうとする。
一方で、内部にはまだ水分が残っていて、それほど縮んでいない。
この収縮の差によって木材の内部に力が生まれ、その力に耐えきれなくなると、木材の繊維に沿って割れが入ります。
これが、木材に起こる「乾燥割れ」の一つです。

特に「芯持ち材」は割れが入りやすい
柱などに使われる木材には、「芯持ち材」と呼ばれるものがあります。
芯持ち材とは、木の中心部分である「芯」を含んで製材された木材です。
一本の丸太の中心付近から柱を取ると、断面の中に木の芯が残ります。
この芯持ち材は、乾燥したときに年輪方向による収縮の違いが出やすいため、木の表面から芯に向かって割れが入ることがあります。
そのため、柱などを表しで使っている建物では、年月が経つにつれて割れが見えてくることがあります。
これは、無垢の木材では珍しいことではありません。

「割れている=強度がない」ではありません
ここが一番お伝えしたいところです。
柱や梁に割れがあるからといって、
すぐに「強度がない」「危険な木材」というわけではありません。
一般的な乾燥によって生じた割れであれば、直ちに構造上の問題につながるとは限りません。
昔の寺社建築や古民家の柱・梁を見ても、大きな乾燥割れが入った木材は珍しくありません。
それでも長い年月、建物を支え続けている木材はたくさんあります。
ただし、ここは少し注意が必要です。
「割れなら何でも大丈夫」ということではありません。
割れの深さや長さ、位置、木材の使われ方、節などとの関係によっては、構造上の確認が必要になる場合もあります。
そのため私たちは、木材の状態を見ながら、構造材として適切かどうかを判断して使用しています。
「割れ」と「折れ」は何が違うの?
では、
「割れている木材」と「折れている木材」は何が違うのでしょうか?
簡単に言うと、
「割れ」は、木材の一部に亀裂が入っている状態。
「折れ」は、木材が荷重に耐えられず、部材として破壊してしまった状態。
と考えると分かりやすいと思います。
乾燥割れの多くは、木材の繊維に沿って亀裂が入ります。
木材全体が二つに分断されているわけではなく、残っている部分の木の繊維はつながっています。
一方、「折れ」は木材に大きな力が加わり、その木材が持っている耐力を超えることで、繊維が破断して部材としての機能を失ってしまう現象です。
つまり、
木材に亀裂が入る「割れ」と、構造材そのものが破壊する「折れ」は、同じものではありません。
ここを区別して考えることが大切です。
木材が折れないように構造計算をする
では、柱や梁が折れたり、大きく変形したりしないようにするにはどうするのでしょうか。
そこで大切になるのが「構造計算」です。
KAHOUの家では、許容応力度計算によって建物の構造安全性を確認しています。
柱や梁にどれくらいの力が掛かるのか。
その力に対して、使用する木材の大きさや強度が十分なのか。
建物全体に掛かる地震や風の力に耐えることができるのか。
そういったことを一つひとつ計算して確認していきます。
もちろん、構造計算をすれば木材の状態を見なくてもよいということではありません。
計算による確認と、大工が実際の木材を見て判断すること。
その両方が大切だと考えています。
木の割れも「本物の木」だからこそ
無垢の木は、工業製品とは違います。
一本一本、木目も違えば、色も違います。
そして、乾燥によって多少の割れや動きが生じることもあります。
私たちは、それも含めて「木」という自然素材だと思っています。
最初は気になった割れも、時間が経つにつれて少しずつ住まいに馴染んでいきます。
色が変わり、艶が出て、傷がつき、木の表情も変わっていく。
そうした変化が、いつしか「味わい」になり、その家ならではの「愛着」になっていくのではないでしょうか。
木材の割れも、本物の木を使っているからこそ生まれる表情の一つです。
そうした木の変化を楽しみながら暮らしていただくことも、無垢材を使った家の楽しみ方の一つだと私は思っています。
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