浜松 磐田 袋井を中心とした県西部で「木の香りと暮らす」をコンセプトに家造り|宮大工の伝統技術を活かした耐震等級3×高気密高断熱の住まい|宮大工天峰建設 注文住宅ブランドKAHOUの澤元です。
今年入社した新入社員たちを連れて、奈良の寺院を巡ってきました。
今回の目的は、単なる社員旅行や観光ではありません。
宮大工を目指して入社してくれた若い職人たちに、国宝や重要文化財として今も残る古い建築を、実際に自分の目で見てもらうこと。
私たちは、こうして「本物の建築に触れること」も宮大工を育てていくうえで大切な勉強の一つだと考えています。

「見る」ことも宮大工の勉強
宮大工というと、木を刻む技術や道具の使い方など、現場で身につける技術を想像される方が多いと思います。
もちろん、それらはとても大切です。
ただ、技術だけを身につければ宮大工になれるかというと、それだけではないと私は思っています。
昔の優れた建物を実際に見て、
「なぜ、この形になっているのか」
「この木組みには、どんな意味があるのか」
「この時代の建物には、どんな特徴があるのか」
そんなことを自分なりに考えながら見る。
若いうちから良い建築に触れ、少しずつ建物を見る目や感性を磨いていくことも、宮大工にとって大切な修業の一つです。
ただ見るのではなく、「どこを見るのか」を伝える
今回、新入社員たちに伝えたかったことの一つが、建物の見方です。
この仕事に就く前であれば、お寺を訪れても、
「大きなお寺だな」
「立派な建物だな」
と漠然と見ていたかもしれません。
でも、宮大工として建物を見るのであれば、もう一歩踏み込んでほしい。
日本の寺院建築は、建てられた時代によって様式や構造、意匠などにそれぞれ特徴があります。
そのため、
「この建物は、いつの時代につくられたのか」
「その時代には、どんな建築が多かったのか」
ということを理解したうえで見ると、同じ建物でも見え方が大きく変わってきます。
今回は、そうした「視点を持って建物を見ること」を若い職人たちに伝えながら寺院を巡りました。
東大寺で感じた、構造そのものの美しさ
今回巡った中でも、やはり印象的だったのが東大寺です。
東大寺の建築を見て改めて感じたのが、構造そのものが意匠になっている美しさです。
大きな木組みや構造材が目に見える形で現れていますが、それは単に格好良く見せるためのものではありません。
まず構造としてきちんと意味があり、その必要な構造材が結果として建物の美しさにもつながっている。
私は、こういう建築がとても好きです。
奈良の古い寺院建築には、後世の建築に見られるような繊細な装飾とはまた違った、力強さがあります。
外から見ると高さを抑えた、どっしりとした佇まい。
それでいて中へ入ると、構造を見せることで上部まで空間が広がり、非常に大きなスケールを感じます。
写真で見て知識として覚えることはできます。
しかし、実際にその場所に立って感じる建物の大きさや木組みの迫力は、現地でなければ分かりません。
それも、若い職人を実際に連れて行く理由の一つです。

若い職人たちから質問が出たことが嬉しかった
今回、新入社員たちは思っていた以上に興味を持って建物を見てくれていました。
ただ私の説明を聞くだけではなく、
「この時代の建物には、どんな特徴があるんですか?」
といった質問も出てきました。
これは、とても良いことだと思います。
最初から建築の歴史や様式をすべて知っている必要はありません。
まずは実物を見て、
「これは何だろう?」
「なぜこうなっているんだろう?」
と疑問を持つ。
そして、自分で調べたり、人に聞いたりして、もう一度建物を見る。
そうやって少しずつ知識が増えていけば、次に違うお寺へ行ったときには、以前とは違ったものが見えるようになります。
「ただ見る」から「考えながら見る」へ。
今回の寺院巡りで、若い職人たちがそのきっかけをつかんでくれたのであれば、とても意味のある時間だったと思います。
昔の建築を学び、これからの建築に生かす
私たちが古い寺院建築を学ぶのは、昔とまったく同じ建物をつくるためだけではありません。
何百年も前の職人たちが、
どのように木を組み、
どのように建物を成立させ、
そして、どのように美しい姿をつくってきたのか。
そこには、現代の建築にも生かせる考え方がたくさんあります。
だからこそ、若いうちから国宝や重要文化財などの優れた建築を見て、触れて、感じてほしい。
そして、そこで磨いた感性を、これから自分たちがつくる建物に生かしていってほしいと思っています。

技術だけでなく、「見る目」を持った宮大工へ
宮大工の技術は、一朝一夕で身につくものではありません。
現場で先輩から技術を学ぶこと。
自分で木に触れ、道具を使い、失敗しながら覚えていくこと。
そして時には現場を離れて、先人たちが残した本物の建築を見ること。
そのすべてが修業だと思っています。
今回、新入社員たちと奈良の寺院を巡って、私自身も改めて若い職人に「何を見るか」を伝えていくことの大切さを感じました。
これから何年、何十年と宮大工として仕事を続けていく中で、今回見た建物の意味が、さらに深く分かる日が来るかもしれません。
これからも天峰建設では、現場で技術を教えるだけではなく、若い職人たちと一緒に本物の建築を見て、感じて、考える機会をつくっていきたいと思います。
良い建物をつくるためには、まず良い建物を知ることから。
そうした積み重ねが、次の世代の宮大工を育てていくのだと思います。
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